2018年08月09日

8.9長崎原爆の日

8月9日は長崎原爆の日。
1945年に原爆が投下されてから73年が経ちました。
毎年この日長崎は深い祈りに包まれます。

8月6日8時15分、
8月9日11時2分、
8月15日12時、
毎年黙祷のサイレンが鳴り渡ります。

私の父は原爆投下の一週間前に長崎市で生を受けました。
被爆者です。
だから私は被爆二世になります。
生後一週間の父は原爆投下のことを語ることはできません。
祖母が何度かその当時の模様を語ってくれました。
「命に縁があったけん生き延びられたと」
90歳を過ぎて語る祖母の言葉が忘れられません。
ほんの些細な状況の違いで、
亡くなった人、
生き残った人、
生き残っても原爆症で苦しみ続ける人、
沢山の苦しみがもたらされました。
そしてそれは今も続いています。
生き残った祖父母・父・母たちのおかげで今の私の生がある。
私の子供たちへと生のバトンが渡された。
それだけに、大切な大きな使命があるのだと決めています。

私は20歳代の頃に甲状腺機能亢進症(バセドー氏病)に罹患したことがあります。
放射能がリンパに蓄積されて体に害を及ぼすと言います。
被爆二世の影響かはわかりません。
その因果を特定するのは困難でしょう。
しかし、因果関係がないと断定することも不可能です。

忘れえぬ思い出があります。
東京の大学に入学し寮生活を始めました。
その時のルームメイトの友人が聞いてきたのです。
「広島、長崎の原爆投下の日をちゃんと理解してない、
教えてくれないか。
ホンマに恥ずかしい。
これからはしっかり覚えとくから。」
大阪出身の彼は真剣な表情でした。
現在神奈川で学校の先生をしている彼とは今でも親友です。

長崎では毎年8月9日にはサイレンが鳴り、皆黙祷します。
小学校に入ったら平和学習があるのは当たりまえ。
中学校の修学旅行では、
広島で被爆体験者の方の講話を聴きました。
今の小学校では、毎月9日に黙祷をしています。
長崎は特別なんだと感じます。

以前我が子が通う女の都小学校で被爆体験講和を聴きました。
講話の冒頭の言葉が忘れられません。
「何年かしたらテレビのニュースで、
『最後の被爆者が亡くなりました』
というニュースを聞く日が来るでしょう。」
長崎市の被爆者の平均年齢は81.76歳となりました。
もう秒読み段階なのです。

アメリカのオバマ前大統領は広島を訪れました。
今日の長崎市の式典にはグレーテス国連事務総長が出席します。
政治のことをここで書くのはご法度であると重々承知しています。
ただ今日は特別な日です。
どうかご了承ください。
グローバル化していく世界の中で、
日本は平和創出のリーダーであるべきと考えます。
戦後日本は経済的に奇跡的な発展を遂げました。
立派だと思います。
しかし、外交的には常にアメリカに追従し内向きです。
国政を担おうと意気込む政治家が、
「核廃絶は不可能であり、理想論。」
と平気で言い放つ姿には絶望しか感じません。
防衛論ももちろん大事です。
しかし、核廃絶を実現し、世界平和へ向かっていくならば、
防衛という観念自体が変更を余儀なくされていきます。
昨年7月に「核兵器禁止条約」が締結されました。
現在60か国が批准していますが、日本は署名しないままです。
核兵器を含めた暴力を背景にした平和など幻想でしかありません。
いかに困難であろうとも、核廃絶は絶対にやらねばならない喫緊の課題なのです。
日本は、核兵器攻撃を受けた唯一の国であり、その悲惨さを伝えられる唯一の国です。
世界の中で、平和創出のリーダーシップを発揮し、世界平和の流れを作る。
その理想と信念と行動があってこそ、初めて憲法第9条も価値が生まれるものと確信します。
今こそ外に向かってリーダーシップをとる日本の政治を、心から待望します。

21年前に長崎で「高校生平和大使」が生まれ、その流れは全国的なものとなりました。
被爆三世以降の世代です。
若い世代への継承は確実に行われています。
今朝新聞で、千葉県に住む被爆者の方の体験を読みました。
当時長崎市で被爆されたそうです。
想像もできない壮絶な苦しみです。
涙が止まりません。
被爆地長崎に生まれたことは、自分にとってとて絶対に意味のあることであり、
平和創出は人生の大きな使命であると、決めるのは自分です。
一人でできることは地味で小さなことかもしれません。
しかし動かなければ何も変わりません。
今の自分にできる最大のことを実践し、
人生の使命を果たし抜いていこうと改めて決意しました。

8月6日、8月9日は、
過去の悲惨な出来事を悼むだけの日では決してありません。
これからの世界のために、
これから生きていく人々のために、
断じて平和な世界を作り上げていくのだと、
決意する日でありたいものです。

林田 雅雄



Posted by spsnagasaki at 18:12│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。